祭り見物 / 静岡県 / 大瀬祭りの踊り船

大瀬祭りの踊り船
静岡県民族学会編「静岡県の祭りごよみ」によると、例年4月4日に沼津市西浦江梨にある大瀬神社の例祭で、大漁旗や杉・桜の小枝などで飾られた漁船が、沼津市沿岸の港や由比・蒲原方面から参集して、船上には化粧をして派手な襦袢を着た女装の若者が乗り組み、調子のよいお囃子に合わせてバカ踊りを若い衆が踊る、とあり、これは面白そうだ、と以前から見たいと思っていた。

今年の4月4日は金曜日で、バイトがないのでやっと見に行くことができた。

祭りは4日の7時半ごろから始まるということで、4日に一緒に行われる「内浦漁港祭」の会場の駐車場の状況もしりたいので、前日の3日に車で家を出た。

浜松から9時半ごろ出発、沼津まで国道1号線のバイパスがあるので高速道路は使わずバイパスを走ったが、途中事故渋滞などで12時前にはまだ静岡の前で、腹もへったので「宇津ノ谷峠」の道の駅でラーメンで30分ほど一休みする。

12時過ぎには渋滞が解消して快調に走り、沼津からバイパスを外れ、一般道を走って14時ごろ内浦漁港に到着、祭り当日は旧小学校の校庭で駐車できることを確認して、さらに大瀬神社のある大瀬崎へ向かう。

14時40分、大瀬崎の有料駐車場前に到着、祭り当日は4時間まで無料の表示があり、一安心。

そして12kmほど南へ行った戸田(へだ)に道の駅があるので、そこで車中泊をしようと向かう。

道の駅で食料を仕入れようと思っていたが、売店は改装で休業、これは困った、とネットで近くのスーパーマーケットを検索すると、おいしいと評判のお惣菜屋が見つかりそちらに向かうと、漁協が経営するスーパーマーケットがあったのでそこに入ってみたがめぼしいものは無く、翌日朝の分のパンなどを仕入れる。

道の駅で仕入れたパンフレットに戸田の港を囲むようにある御浜岬の先に「諸口神社」があるとのことで、とりあえずそちらに向かう。

 

諸口神社は、案内板によると、

「駿河湾と戸田港を隔てる御浜岬の先端に建つ古社。湾に臨む赤い鳥居と雄大な富士山が印象的な光景を作り出している。祭神は、航海と漁業の守護神であり、縁結びの神でもある橘姫命。毎年4月に豊漁を祈願する祭典が執り行われる。」

ちょうどこの4月3日が祭典の日であったようで、拝殿の中では直会が終わったところであった。

祭神の「橘姫」といえば、日本武尊の何番目かの妃の「弟橘姫」。

記紀によれば、日本武尊が海を渡ろうとしたときに暴風雨で船が漂流したときに、海神を鎮めるために橘姫が人身御供として海に身を投げて暴風を止めたという。

漁協の売店で買い物をしたときに「弟橘姫(575円)」という酒を購入した。

価格的にてっきり純米酒と思って購入したが、この地の名産のみかん(橘)を使った果実酒であった。


境内にあった末社の一つは、中国貴州省の少数民族の村でも時々見られるような、祀られるご神体が無い空っぽのものだった。


神社から道の駅へ戻る途中、ネットで見つけたお惣菜屋「やまもと商店」があったので車を止めると、ちょうどお店のお婆さんが店じまいで外へ出てきたところ。

店に入るとその日売れ残ったものがいくつかあって、クリーミーコーンフライ2個入120円、揚げ焼売5個入100円、スパゲッティサラダ100円で合計320円のところ、サービスしておくよ、と200円にしてくれた。

夜は、道の駅に車を置いて、街の飲み屋で一杯と思っていたが、買ったお惣菜でお腹がいっぱいになりそうで、ビールと芋焼酎も持参していたので予定変更、道の駅の日帰り温泉で一風呂浴びてから、戸田へ来る途中で見つけた「出逢い岬」というトイレもある休憩所で一杯やって、車中泊することにした。

この日は残念ながら曇り日で富士山や夕陽は見れなかったが、戸田と駿河湾の絶景を肴に、キリン一番搾りの黒ビールも芋焼酎桜島のお湯割りもお惣菜も旨い。


日が暮れて一眠り、朝4時ごろ起床。

出逢い岬から臨んだ夜明けの富士山。雲がかかっているが頭をちょっと覗かせていて、この日は晴れそうだ。


前日買っておいたアンパンとどら焼き、インスタントコーヒーで腹ごしらえして、6時ごろ大瀬崎へ向かう。

6時半ごろ大瀬崎の駐車場に到着。いい天気で、富士山の頭も出てきた。


まずは参拝。

 
 

引手力命については、ウキペディアによると

「全国の主な式内社とされる神社でこの名前の神を祀るものは他に見られない。これを古事記や日本書紀にも登場する天手力雄(男)命に比定する説もあるが、一般に天手力雄(男)命が山の神とされているのに対して引手力命は海の守護の神であり、必ずしも定かではない。」

神紋は、「菊水」で社殿には烏天狗や天狗をモチーフにした素晴らしい彫刻が施されている。

 

「烏天狗」とは、ウキペディアによれば、

「剣術に秀で、鞍馬山の烏天狗は幼少の牛若丸に剣を教えたともいわれている。また、神通力にも秀で、昔は都まで降りてきて猛威を振るったともされる。中世以降の日本では、天狗といえば猛禽類の姿の天狗のことを指し、鼻の高い天狗は、近世に入ってから主流となったものである」

ということで、源氏ゆかりの神社ゆえのモチーフだろうか。

絵馬も烏天狗。


社殿への石段の上り口に烏天狗の履く鉄の下駄が奉納されている。


社殿へ石段を上る途中に、ここでも越の海人族のように、「石」が祀られている。

 

もう一つ小さな祠があって、舟板だろうか、板切れのようなものが祀られている。

 

ここの社域は、「ビャクシン」の群落でも有名とのこと。


幹のうねり具合がすごい。


社殿を見ていると、まだ7時を過ぎたところだったがお囃子の音が聞こえてきて、踊り船が1艘やってきたので慌てて石段を駆け下りて海岸へ行ったが、この船は役員を載せてやってきたもので、また港のほうへ帰っていった。

 

そして待つこと1時間ほど、8時過ぎに「踊り船」が次々にやってきた。


前記、「静岡県の祭りごよみ」によれば、

「船が岬の前に到着すると青年会入会1年目の小若衆が裸になって海に飛び込み、小石と杉葉の詰まった福俵を社まで一気に担ぎあげる。これは青年にとって一つの試練であり、重要な通過儀礼である。俵は、網のおもり(イヤ)としてきた石俵を象徴するものではないかとも考えられる。この俵のほかに、アゲイシと称して各浜の小石をタモや桶に入れて奉納する。また各漁船は神社の浜から石を拾って船に取り付ける。これは大漁の守り石で、由比では漁がふるわないと石を取り替えに行くという。」

とのことで、小若衆が海に飛び込むのを待ったが、そうした様子は見られないので警護をしていた人に聞いてみると、

「今じゃあ集まる船も少なくなって、そうしたことをやる船はなくなったな。海に誰かが飛び込めば、おい、誰か海に落ちたぞ、といわれるな。」

現在各漁船から奉納されているのは、真鯛や鯵などのお魚に酒、塩、「大瀬大明神」と書かれた赤い幟。

一升瓶には「南天の小枝」が刺されていて、何故かなぁ、と思ってネット検索してみると、

「ナンテン(南天)は、その名前が「難を転ずる」を連想させること、常緑で冬に真赤な実を実らせるため永遠や富を連想させることが縁起物として好まれてきた理由です。」

 
 

各船の参拝・奉納も終わり、10時過ぎに船は帰っていった。

これも「静岡県の祭りごよみ」によれば、

「帰りには船の上で調子のよい囃子にあわせてバカ踊りを若い衆が踊る。曲は「昇殿」「にくづし」「屋台」などである。参詣の途中、若松崎の沖合海上で三三九度の盃事を行う船もある。」

とのことで、各船5曲ぐらいの演目があるようだ。


10時半に近くなり、そろそろ駐車場の無料の4時間になろうとしていて、この日は、沼津に近い「内浦漁港祭」での「踊り船」のパレードもみようと、内浦漁港へ向かった。

11時前には内浦漁港に着いたが、パレードは12時からで、待つこと1時間、まじかでバカ踊りを見ることができて、楽しかったが、私はビデオ撮りに夢中になっていたところ、餅投げやみかん投げがあり、餅かみかんか頭に直撃を受けて痛かった。


腹も空いて、沼津漁港に食べ物屋街があるので、そこで昼食することにした。

沼津は干物主体の食べ物屋が多く、地魚は真鯛や鯵など私の住む所近くの舞阪漁港で揚がる魚と同じで、何にしようか迷った挙句、この冬は牡蠣を食べていなかったので、「漁師めし食堂」で濃厚牡蠣の天ぷら丼(1980円)、というのをみつけ、瓶ビールも1本、旨かった。

ビールも飲んだことだし、酔いが醒めるまで夕方まで休憩、たまたま駐車できた所が市場の2階への上がり口で、トイレに行ったときに見つけた寿司屋で駿河湾の深海魚が食べれることを知り、夜になってからその「うお亭」で深海魚などをいただいた。

「人気づくしの鮪の中トロ、天然ぶり、沖きす、炙りさわら、うに」各1かんで1616円。深海魚の「でんでん」と「ひげたら」各2かん、各693円。「あなごの1本にぎり」808円。

深海魚も侮るなかれ、上質の白身で美味しい。

ここはお茶で我慢して、19時ごろまで駐車場で休み、また1号線のバイパスで帰路についた。